Speaker
真周 山本
(信州大学)
Description
TA実験では、超高エネルギー宇宙線を観測するために大気蛍光望遠鏡を用いている。これは、宇宙線による空気シャワー現象によって窒素が励起され、基底状態に戻る際に出す蛍光を観測する望遠鏡であり、空気シャワー発達の様子を観測できる。
TA実験で用いられている大気蛍光望遠鏡は口径3mの反射鏡を用いた反射望遠鏡であるが、装置や建屋に高いコストがかかる。また、装置が高価なため、観測中は常に人がプロセスを監視する必要があり、多大なランニングコストも必要である。
現在、TA実験ではより高いエネルギーの宇宙線を観測するため実験の大規模化を目指しているが、現行の望遠鏡を大規模実験の利用するのはコスト的に現実的ではない。そこで、より安価に宇宙線を観測するために、フレネルレンズを用いた大気蛍光望遠鏡を開発している。この望遠鏡はフレネルレンズと8インチのPMTにより構成されており、TA実験で用いられている大気蛍光望遠鏡の1/10のコストで製作できる。
本発表では、望遠鏡の開発の現状、シミュレーションによる望遠鏡の期待される検出感度や、これまでに明野観測所や米国ユタ州TA実験サイトでの試験等の結果を報告する。