Speaker
深志 水谷
(神戸大学)
Description
宇宙ガンマ線の観測は宇宙の高エネルギー天体・現象について理解を深める上で非常に有効な手段の1つである。2008年に打ち上げられたFermi衛星は4年間の観測で3000を超えるガンマ線源を検出し、ガンマ線天文学を飛躍的に発展させた。一方で、さまざまな問題も浮かび上がってきており、統計を増やすだけの観測は限界に近づいてきている。そこで我々は原子核乾板からなるエマルション望遠鏡を用いて宇宙ガンマ線の精密・偏光観測を目指す気球実験を進めている(GRAINE計画)。原子核乾板の空間分解能を利用することでFermi衛星と比較して数~10倍程度の角度分解能の改善と未だ実現されていないガンマ線偏光の検出が可能となる。GRAINEは2011年度の原理実証試験を経て、2015年5月、オーストラリアにおいてエマルション望遠鏡による初の天体観測及び望遠鏡の性能実証を目的とした気球実験を実施した。本講演では2015年度気球実験の概要と解析状況について報告する。