Speaker
隆治 武石
(東大宇宙線研)
Description
極高エネルギー宇宙線空気シャワーからのミューオン数は、一次宇宙線の組成に依存し、その空気シャワーモンテカルロ計算(MC)による期待値はハドロン相互作用モデルにも依存する。ミューオン数の観測値とMCの期待値との比較はモデルの制限に有用である。南米アルゼンチンで稼働中のAuger実験から、水タンク型の地表検出器(SD)で観測したミューオン数が、一次宇宙線を陽子とし、反応モデルをQGSJETII-03としたMCの期待値より約1.8倍多いこと、また反応モデルを変えた場合でもMCの期待値より多いことが報告されている。米国ユタ州で稼働中のTA実験では、プラスチックシンチレータSDで主に空気シャワーの電磁成分を観測するため、ミューオン数の解析には独自の手法が必要である。我々は、信号中の空気シャワーのミューオンの純度が高いTA SDを選別し、その条件で観測した粒子数とMCの期待値を比較した。その結果、観測した粒子数はMCの期待値より有意に多いことが分かった。本報告では、TA SDを用いた空気シャワーからのミューオンの解析手法と現状の結果を示す。